「人材」についての私見

これは「人材」について語った友人と、お互いに歩みあった結果の意見ではなく、私の私見です。

【人材】という単語を広辞苑でひくと
 才知ある人物。役に立つ人物。人才。
と出てきます。

【労働力】とひくと
生産物を作るために費やされる人間の精神的および肉体的な諸能力。労働力の具体的な発現が労働である。

才知ある人物と言った場合の「才知」とはどれほどのレベルのことをいうのだろうか。
例えば自動車工場のベルトコンベアで、平均的な能力の工員が1分簡に30個のネジを締めることができたとして、そこに1分間で45個のネジを締めることができる工員が居たら、その人は【労働力】ではなく【人材】なのだろうか?

「人材」についての私見

生産物を作るために費やされる人間の精神的および肉体的な諸能力を【労働力】とするならば、例えば車のセールスマンが、店舗での待ちうけや、得意先へのルートセールスの枠を超えて、あるお客さんの家族構成を詳細に調べて、お客さんの息子が今年から大学生になり、自動車運転免許を取るべく教習所に通っているということを知り、気を利かせて若者向けに売れている車のラインナップを調べ、お客さんがオイル交換などで来店した折に「息子さん、もうすぐ免許取得なさるのでしょう。ではこのような車などどうでしょうか?」とさりげなく勧める。

かつ、親子で同じ保険代理店と契約すれば、トータルの保険料がお得ですよなどとアドバイスする。

そこまでやったとした場合、そのセールスマンの精神的および肉体的な諸能力は【労働力】と呼ぶべきか。
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45個のネジを締めることができる工員は「労働力」

45個のネジを締めることができる工員は、【労働力】なのではと思います。なぜなら、ネジを早く締めるコツを他の工員にも教えたら、全員が45個締められるようになる可能性はけっこうあるだろうし、また、ある日からネジを締める工業ロボットが導入されて、そのロボットが一分間に120個のネジを締めることが出来るなら、45個ネジ締めの工員は、秀でた【人材】とは言えないからです。

顧客の家族構成まで調べて周到に根回しするセールスマンは「人材」

顧客の家族構成まで調べて周到に根回しするセールスマンは【労働力】なのだろうか?

これはちょっと微妙ですが、【人材】に当たる気がします。なぜなら、同じセールス手法を、他のセールスマンに教えても、この場合は上手くいくとは限らないと思うからです。

同じく「息子さん、もうすぐ免許取得なさるのでしょう」と語りかけるにしても、そのセールスマンと顧客の間の信頼関係や、セールスマンの雰囲気作りや言葉遣いによっては、お客のほうが「なんだこいつ、人の家庭を盗み見しやがって! 大体オレは息子に車を買ってやるつもりなど更々ない!」となる場合も往々にして有り得るからです。


おそらく、計量でき、定量化・定型化できて、いずれは機械に置き換えることも出来る作業は【労働力】でしょう。

人対人のコミュニケーションスキルに負う部分が大きく、同じ方法、手段をとったとしても、その人じゃないと上手く行かないといった作業がこなせる人は【人材】と言えるかも知れません。

かも知れません、と今ひとつ歯切れが悪いのは、車のセールスを上手く出来るか出来ないかは、単にその人の性格の向き不向きであって、その人が上手く車を売れなかったとしても、家に帰って趣味の油絵を描いたらクロード・モネ級だったという場合は、その人は【人材】なのではないかと。
クロード・モネ級に絵が描けるのに、それを商売にしていないのは、絵を描くのは好きだけど、絵を売り込むための努力とか営業がイヤだという場合も有り得ると思います。

【人材】という言葉は使いどころが難しいですね。
でもその割りに、実際には政治家とか社長とかはお手軽に「わが国の資源は【人材】である」とか、「わが社は【人材】の育成を最も重んじる」とかペラペラと喋ります。

そして実際には、子供の教育にかかる費用に対して減税する処置を全く行わないどころか、公立の保育園の数を不採算だからといって減らしたりします。

社員が大学に戻って先端技術を勉強しなおしたいから1年休職させてくださいと言ったら、じゃあ辞めたらと、さらっとクビを切ったりします。

IT業界でもそれは顕著で、どんなにスキルが高くコミュニケーション能力があり設計能力も十分な人材と呼べる人を、夜間大学で勉強しなおしたいというと、必ず答えはNoです。

彼が、技術職から経営管理職への道を探すべく、MBAの取得を目指したとしても、それは現場には必要ないから学ぶ必要はないという会社は多いでしょう。

私が「それは【人材】ではなく、【労働力】に過ぎないだろう」ということに拘るのは、【人材】という言葉を口にする人達に信用がおけないからかも知れません。